1st love

―やっさんものりこさんも多分気付いてたんだ。
あたしとアキラが別れたって事―

「あのバカ息子の顔も最後に見たかったな…
のりこ、俺はお前の事幸せにできたのかな?
俺は幸せだった、ありがとな」

と、やっさんが小さい声で言った。
「もちろん幸せでしたよ」
と微笑むのりこさんの顔を見ると、笑顔でやっさんは目を閉じた。


しばらくして、メトロノームのように刻まれていた音の間隔が広くなり、刻まれなくなって一定の音が響いた。

耳障りな音の中、やっさんの顔だけがとても安らかだった。



< 162 / 169 >

この作品をシェア

pagetop