Catch me
…マネージャーに招かれ
個室ブースに足を踏み入れ
わかりやすく引き攣る。
…ホストではなく
ストーカーでしたか…
「その節は、どうも。」
そういって、ソファから
立ち上がり、視線を
少しも移ろわせる事なく
名刺を取り出した
その人はーーーーーーー
「あれ?お知り合いだった?!」
マネージャーが小声で
伺ってくる。
“キャッチセールスの親玉”
「いえ。お顔を存じていた
だけで…」
「そう。こちらは…」
マネージャーの説明が
右から左へ流れだし、
ハッとして意識を戻す。
「…東証一部上場企業の
代表取締役のご子息で
いらっしゃる。」
マジか?!そんなセレブが
うちのブランドに何用?!
「ご自身は、学生時代にご友人方と
一緒に、起業されたんだよ。」
この人の釣書は、この際
どうでもいい。
「はあ…そう…ですか。
勉強不足ですいません。」
マネージャーのウンチクは
興味がないので、申し訳ないが
サラッと流しておく。
“桐生 龍起”
名刺の名前を眺める。
…なんというか…
見た目だけじゃなくて
名前まで派手なのね(笑)