Catch me


「いた。」


車を停めて、はやる
気持ちを抑えて
ガヤガヤやり取りする
3人に近づく。


「もう、私に関わるのは
止めて頂きたいんです!!」


カノジョの苛々した声と
その内容に、自分も含まれて
いるんだと察して、傷口に
塩を擦り込んでいる気分だ。


「聞く耳持たないお嬢さんですね。
あのオトコはお買い得ですよ?
外見と育ち、経済的バックボーン、
何よりあのオトコは単純です。」


…あれ…??俺の事?
…俺の事だな…

…つーか、あれって
売り込んでいるのか?
貶しているのか?!


「副社長、初恋らしいよ。
いい歳こいて拗らせて
仕事に影響が出てるんだ。
あんた、ちょっとばかり
満更じゃない振りして
やってよ。」


秘書と蒼梧が、
畳みかける様に
カノジョを詰める。

止めてくれ。
カノジョの俺に対する
印象が、これ以上ない位
下がる…


そもそも


「誰が“初恋拗らせた
オッサン”だ。」

蒼梧のアタマを、
重めに叩いてやる。

これ以上、カノジョを
ここに置いておく訳に
いかない。

「おい、その子、連れてく。
お前らは、仕事に戻れ。」

そう告げて、多少強引だが
カノジョの手首を掴み
自分の車に向かい歩き出す。


















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