Catch me


事の発端は、年始の
身内のパーティーだった。

俺は、三兄弟の三男である事を
これ幸いと、大学生の頃起業し、
家業の桐生グループとは
一定の距離を置いたポジションを
キープしているが、さすがに
年始の事始のパーティだけは、
顔を出す様にしている。

…コネクションと言うよりは
万が一に備えた牽制を
目的としている。

俺たちに一切関わってくるな…
そんな思いを込めて
我が社幹部一同
無言の圧力をかけに来ている。

我が社は、社長こそ
温和な気質だが
俺も蒼梧も気性は
相当激しい方だ。

…俺の秘書に至っては、
一層の事、オマエが
社長をやればいいと
感じるほどの策士と
来ている。

本来、女性を伴って
出席するはずのパーティに、
毎度、男ばかりの集団で
現れるのだ。

当然、毎度の事ながら
パーティへ招待された
VIP達のギョッとした様子や、
彷徨う視線については、
語るまでも無いだろう。

やるべき事は終えた。
早々に退場しようとした頃
その事件は、起こった。



 


 



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