Catch me


「ここ…どこ?料亭?庭園?」

「イヤ、俺の実家。」

困惑気味にキョロキョロ
周囲を見渡す彼女に
苦笑混じりに告げる。

「…スゴイね。超豪邸…」

…先祖代々からの家だからな。
広さと風格だけはある。

「私、本当に
お邪魔していいの?」

そう言って、こちらを
見上げる仕草が可愛い。

「ああ。どうぞ。」

…本音を言えば、ギリギリ迄
奴等になど会わせたくなかった。

応接間に辿り着くまでの
お手伝いさん達の仰々しい
お出迎えにドン引きする等
まだまだ許容範囲だ。

問題でしか無いのが俺の家族だ。
最近のパンク野郎でも、
…あれ?まだパンク野郎って
いるのか?…まぁ、何はともあれ、
此処までのキワモノは、
そう、いないはずだ。

隠しきれない緊張を乗り越え
ソツのない挨拶を終えた彼女を
俺は、内心ビクビクしつつ見守る。

両親、兄2人、義姉達が
勢揃いするリビングは、
俺には戦場に見える。

強いて言えば、義姉達が
最も全うだが、いかんせん、
彼女達もオモシロイ方に
乗っかる習性がある。

所謂、我が家系の女性は
ドエス傾向があるのだ。

もう、義理は果たした。

後は、如何にタイミング良く
自然に彼女を連れて撤収できるか…
俺の采配にかかっているのだが。













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