Catch me
口を開こうとした所で
父親が先陣を切った。
「まあ、そんな所に
立っていないで座りなさい。
もう直ぐお茶の用意が
できるから。」
ヤバイ…出口が封鎖される。
「さあ、こちらへどうぞ。
義理の姉妹になるかも
しれないのだから、
そんなに緊張しないで。」
義姉達が微笑み、彼女を
ソファーセットへと促す。
「あ、お気遣い頂いて
すみません。」
彼女が、笑顔で返しながら
俺にどうすべきか、
表情だけで伺ってくる。
こんな些細な遣り取りが
自分達の関係が、密に
なっていると自覚させて
感慨深い…だ、なんて
思っている時だった。
リビングの入口から父の執事に
続いて、ティーセットを携えた
メイドと、我社の社長と秘書達が
ワラワラと入って来た。
なんで、お前達が来る?!
社長が、自分達の機転を
褒めろとばかりに、
親指を立ててのたまった。
「イヤ〜、我社の副社長の
配偶者になるかもしれない方の
顔合せだっていうから、
俺たちも立ち会うべきだと
思ってな。」
…バカだろう?!テメーら
バカなんだろう?!
言いだしっぺが誰か?
そんな者探る必要は無い。
コイツ等の発想など知れている。
…日を改めて連帯責任を
求刑してやる。
軽い頭痛さえ起こるさなか
とうとう、それは、起こった。