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「は?今、何と仰ったの?」

母親がティーカップを手に
よく響く声で言った。

「え?…いや…副社長の
配偶者と…」

付き合いの長い俺たちだ。

社長も、その他のメンバーも
我家の母親のヤバさは
熟知しており、
我が社の社長も、既に
シドロモドロな状況だ。

不用意な一言など、
一言たりとも発する事など
許されない。

…何を思いつくか
分からない人だからな…

「龍起さん。

配偶者…って?
どういうことかしら…?」

…如何に、取り繕うとしても
否定だけは致すまい。

「…先々の話ですよ。」

…俺は、その未来を望んで
いるのだからな。

「は?認めませんけど?
どこかのご令嬢でもない方と…
貴方、桐生の人間という事は
お忘れでないでしょうね?」

…嘘だろ?!
今までそんなこと…家柄なんて、
あんた、気にした事
無い人間じゃねぇか!!

「…おっ…お義母様。
…私も、元銀行員、実家も
サラリーマンの家系ですよ?」

済ましてお茶を飲む母に
義姉が引きつった笑みを浮かべ
なだめにかかる。

ほら、義姉その1もそうじゃないか。

何の遜色も無く、兄貴を立てて
良き妻でいてくれているだろう?!

「あら。貴方は、私が見初めて
お見合いをお願いしたのですよ。
状況が違います。」

もう、黙れ!!

ヤバイ!!ヤバ過ぎる!!

そこで青ざめてる親父!!兄貴!!
むしろ貴様達が率先して宥めろよ!!

この場を沈めろよ!!



 


  

 




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