Catch me


「…えっ?…結婚の話
…無いの?」

唖然とした表情で、奴は問う。

「ある訳ないでしょうが。
どいつもこいつも、おバカちゃんね。
あ、ここから電車で帰るわ。
次、前みたくストーキングしたら
マスコミにぶちまけるわよ。」

「せめて、警察に相談しろよ!!」

ああ、やだやだ。お金持ちって。
国政とか、どうにかできるんでしょ。
崖めぐりのサスペンス劇場で
圧力とかやってるじゃない。

だったら、信憑性なんて問わない
ネタ好きを盾にするまでよ。

「バカね。ハイエナに売るに
決まってるじゃない。
金輪際関わってこなければ
そんな事にならないわよ。
では、運転手ご苦労様。」

捨て台詞を吐いて、
車を降り、改札口へと急いだ。

ホームのベンチに座り、
帰りのルートを検索する。
…結構遠いわね。
二時間もかかるじゃない。

自販機でペットボトルの
お水を買って、グビグビ飲んだ。

知らなかった…
人に啖呵を切るって…
案外、心臓がバクバクするのね。
…当分、ご遠慮したいわ。


 
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