Catch me
うん。やっぱりそうだわ。
いつもの人達と違う。
…なんか、ホストみたい。
あんなのにホイホイついて行けば
ホストクラブ的などこかに連行されて
口車に乗せられた挙句、
何百万て借金を拵えるまで
軟禁されそうだな。
そんな事を考えながら
駅の連絡通路へ、進路を変えるため、
なんとなく後方へ視線をやり
導線を読もうとした。
「!!!!」
声にならない声を上げ、
一気に体がビクついた。
獲物を物色する様に歩いている
この辺りにいる、ホストの親玉
みたいな高そうなスーツを着た
オトコ衆のうち、先頭を歩く男と
ガチで目が合った。
“あっ”
ヤバイ!!今、あのヒト
“あっ”て、口したよねぇ?!
“あっ”て、ゆったよねぇ?!
…いかん!!まさかの
ロックオンされたよ!!
反射的に歩く速度が速まる。
ヤバイ!壷や矯正下着どころか
桁感のちがう借金を背負わされる!!
あっという間に金利が膨らんで
身ぐるみ資産を持っていかれる!
…そんな資産、ないですけど。
所詮アパレルの給料ですから…
「!!」
マズイ。あの男の人の
歩く速度も速まってる。
逃げねば!!
カモにされる!!
慌てて人混みにまぎれて
駅に向かって、本気で
逃げたのだった。