あの夏をもう1度
「それはないですって」



あたしは自分でもわかるぐらい苦笑い。



「だって、ここ行きたいって言ったのあのこよ?」



お姉ちゃんが外を指さす。



「…そうなんですか」



あたしの胸にしゅわっとなにかが弾ける。



どうして、バイト先にこようとしたんだろ。


あたしがいるかもしれないのに。
ここ1年は1度もきてなかったのに。



「なのにあんな態度なんて腹立つ弟だわー」



なんて笑う。



「そうですね」



あまり頭が働かなく適当に相槌をうつ。



「好きならそのうち自分で言うか!じゃあね!ありがとう」



自分で納得をしたように店を出ていく。



あいかわらずだなー。

付き合ってるときも
嵐のようなひとだったな。


好きだったけど。
お姉ちゃんのことも。


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