あの夏をもう1度
なんど同じ夢をみただろうか。


最近たくさん見るようになったのは
夏祭りが近づいてきたからだろうか。


彼と別れたあの夏祭り。
あの帰り道泣きながら帰ったのを覚えてる。



「沙耶ー!起きなさいよー!」



お母さんが下からあたしを呼ぶ。



起きなきゃ。


この夢のあとは倦怠感がひどい。

見たくない夢だから。
現実から目を背けたくなる。


また誰かと付き合ったら
こんな思いをするのだろうかと思ってしまう。


1年間
ずっと彼を想っていて。
それが変わることはなかった。


あたしは秋月沙耶(あきづき さや)

彼は横井駿太(よこいしゅんた)



「おはよ」



あたしはリビングでお母さんに声をかける。



「沙耶、おはよう。ご飯食べちゃいなさい」



お母さんがテーブルに料理を並べる。


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