あの夏をもう1度
「あの日さ」



丘の上に座った駿太はぼそりと話し始めた。



「あいのお父さんがさ、死んだんだ」


「え?」


「だから、俺が。俺がふたりを守らなきゃって」



駿太が顔を手で覆う。



「…駿太」



あたしは気づいたら駿太の手を取っていた。



「ごめんな。傷つけて」



駿太があたしを抱きしめる。



「俺、沙耶のことわすれたことなかったんだ」


「あたしもだよ」


「本当は別れたくなんかなかったんだ」


「うん」


「ごめん」



あたしを抱きしめる腕に力がはいる。



「もういいよ。駿太があたしを思ってくれてるなら」


「ありがとう」


「でも、駿太と香澄さんってどういう?」


「んー。幼なじみ。俺ともう一人いてさ。そいつと香澄が結婚したんだ」



ふってわらう。


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