あの夏をもう1度
〝明日夏祭りみんなで行かね?〟



圭太からのLINEにはこう書かれていた。


夏祭り、か。

今年は行かないつもりでいた。
どうしてもあの時のことを思い出すから。



「どうしよ…」



ご飯を食べながらそうつぶやく。



「どうしたの?」


お母さんが向かいで首を傾げてる。



「…夏祭り、みんなで行かないかって」


「行ってきたらいいじゃない」



お母さんがにこっと笑う。



「…でも」


「嫌な思い出はいい思い出に塗り替えないと」


「…うん」



夏祭りは。
あたしにとって嫌な思い出のものに塗り替えられた。


あんなに好きだったのに。


やっぱり
塗り替えないとだよね。


〝行こうかな〟


あたしは圭太にLINEを返す。



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