あの夏をもう1度
「…う、ん」



圭太の言葉に頷く。



「姉貴、はやく買って帰るぞ」



しばらく止まっていた駿太が口を開く。



「なによもう。沙耶ちゃんに〝久しぶり〟ぐらい言ったらどうなのよ!」



お姉ちゃんが不貞腐れながら駿太のところに行く。



「別にいいだろ。んなの」



不機嫌そうに声を発する。



あたしとは
話したくないんだ。


そう悟った。


ずっと想像してた。
再会したときのこと。


なにもかわらなかった。


やっぱり
駿太のなかにはあたしがもういない。



「駿太ってさ、元カレじゃね?」



圭太がこそっと耳打ちしてくる。


「よく覚えてんね」



あたしも小さい声で話す。



「大丈夫?」


「うん」



大丈夫。
大丈夫だ。


そう自分に言い聞かせる。


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