あの夏をもう1度
「これお願いしまーす」



お姉ちゃんが飲みものをふたつレジに置く。



「車戻ってる」



お姉ちゃんに告げて、お店を出ていく駿太。



「駿太ったら挨拶ぐらいしたらいいのに」



お姉ちゃんがぷんぷん怒る。



「話したくないから仕方ないですよ」


「まだ好きなんだわ。きっと」



お姉ちゃんがにこっと笑う。



「…そんなわけはないです」



思ったよりも低い声が出て自分でもびっくりする。



「ここって高校時代からずっとバイトしてるのよね?」



お姉ちゃんが首を傾げる。



「あ、はい」


「駿太も知ってるよね?あたしは知らなかったけど」


「そうですね」


「じゃあやっぱりまだ好きだわ!」


なんて言いながら目を輝かせる。

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