零度の華 Ⅰ



『ん、おいしい』


チョコレートを舐めながら廊下を歩く

すると、前から1人の男子生徒が向かい側から歩いて来る


あたしの存在に気付いたその男は笑顔であたしへと近づいて来た


「君、雪女ちゃん、だよね?」


1番会いたくない奴に声をかけられてしまった


Yシャツの第2ボタンを開け、ネクタイを緩めた格好をして、なにより涙ボクロが色気を(かも)し出させている


こいつは、全国NO.1の暴走族の"光華"(コウカ)の情報参謀を任されている鷹見荒維ータカミアライー

光華の中ではタカと呼ばれている



黒髪で黙っていたら見た目は誠実感がありそうだがそうでもなく、女好きでチャラチャラしている____という印象をワザと出している

警視総監の親を持ち、若いながらこいつも警察官としての名が高いことを隠すために

そのため、鷹見の情報は警察の奴らが隠しているところがある

自分でも情報を隠しているから、コイツも結構な頭のキレる奴ということだ



『あたし、雪女なんて呼ばれているんだ。でも、あたしには似合わないと思わない?そうね、悪魔なんてどうかしら?』



少し、悪戯っぽく笑って言ってみる




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