零度の華 Ⅰ
親子共々、脅威的な存在だからな
『何も告げずに出ろ。報酬はもう振り込んである。危険なことをさせて悪かったな』
「いえ、零(ゼロ)様のお役に立てたのであれば光栄です。では、失礼します」
『あぁ』
あたしは電話を切り、そのままシャワーを浴びた
浴室にある大きな鏡に背を向けると、写るそれはあたしの始原となる傷が背を左から右へと滑るように流れている
この斬傷(ざんしょう)はあたしと逆方向を向き、何を見て何を感じるのか...........。