零度の華 Ⅰ
腕の立つハッカーは、あることに気づくだろう
それは"過去"の存在
調べれば出てくるそれが出てこないとなると、少しは怪しむ
それに、それ以上何も情報が出てこないようにしている
まぁ、"雨月羽空"なんてあたしが作った偽名だし、情報もあたしが作った"偽情報"
「それじゃー行こうか~!」
何も返事もしていないのに腕を引っ張り、強引にでも連行しようとする鷹見
面倒なことになりそうだ
『おい、手を離せ。逃げやしない』
このまま連れて行かれることを拒否ればこの先ずっと追いかけ回されそうだから、大人しくコイツに付いて行った方がいいと考えた
「本当?」
『本当だ』
鷹見はあたしの目を見てから腕を離し、歩き出した
あたしは少し距離を取りながらも鷹見に付いていく
鷹見の後ろをついていって5分程
ついた場所は空き教室
「じゃあ、入るね~」
ガラガラと音を立てて鷹見が空き教室のドアを開ける