零度の華 Ⅰ


「タカー!!遅いじゃない!どこに行ってたのって.......その子誰?」


クリッとした二重の瞳に、長い髪を軽く束ねて可愛い顔した女の子は、こちら向かってきて不思議そうな表情であたしを見ている


最近、光華にできたお姫様の愛川蘭ーアイカワランー

天然で無自覚で可愛らしい、正に王道なお姫様

それに、あたしの事も知らないとなると王子様たちの守られているのだろう



ハッとして何を思ったのかあたしに自己紹介をする愛川


「あ、いきなりごめんね!私の名前は愛川蘭。ランって呼んでね!!あなたは?」


『あたしは、雨月羽空。皆には雪女って呼ばれているらしい。呼び方はそっちに任せる』




雪女と聞いた瞬間というよりもあたしを見た瞬間、空き教室にあるソファーに座っている男3人の視線はあたしへと注がれる

思いっきり睨まれている



それよりもあたしは、この空き教室は部屋なのか?と疑問を抱く

2人がけのソファーが3つに冷蔵庫、テーブル、雑誌などが置いてある


まるで一つの部屋でしかない

どうせ、光華の先代から使っている教室であり、先代もここの理事長だからこういう部屋ができたのだろうな




そんなことを思っていると、1人の男が口を開いていた





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