零度の華 Ⅰ



それにしても聞いていると、自分達は"正義だ"っとでも言いたいようだな

それを聞かされた愛川はどう思うか

あたしは愛川の方を向き、表情を見ると怒りが込み上げているようだった




「おかしいよ........。フクロウたちは噂を信じて、人を軽蔑するの!?そんなの噂に過ぎないじゃん!!フクロウ達がそんな人だと思わなかった!」





お姫様に言われた鮫島と虎山という王子様は、自分がしていたことを振り返るようにして、下を向き反省しているようだ


残り2人、梟と鷹見は特に気にしてはいない様子



もしこれが言う相手が違うければどうなっていただろうか


毒リンゴを持った魔女?

動物に変えた魔法使い?

殺人鬼と呼ばれる死神?





そんなの分かり切っている

悪役は所詮は悪役のまま


だから、黒が白に変わることはない

白が黒になるのは簡単なのにな、なんて考える自分が可笑しくて笑みを浮かべると、それに気づいた虎山があたしに問いかける




「何を笑っているの?」


隠しきれてなかった笑みの理由を聞かれても答えに困るな

ただ、自分のことなんて言ったところで信じる奴はいない



『噂の話、本当なのによくも知らないであたしを庇うお姫様が可笑しくて』



適当な嘘を言ってみる


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