零度の華 Ⅰ



母親はあたしに興味を持っている


「ただの知り合いだ」



そう、梟銀夜が答える

嬉しそうに笑う母親



「そう!!あ、風邪引くね。お風呂入ってきなさい」


流暢な日本語を話すんだな

1人でそんなこと思っていると、組員と1人の少女が顔を見せた


「お帰りなさい、銀夜さん」


「ぎんにぃ、おかえりー!」



駆け寄って少女に微笑み、ただいまと返す



仏頂面のコイツが笑うところを初めて見た


家族限定というわけか



「ほら、楓‐カエデ‐。お姉ちゃんに挨拶しなさい」


「こんにちわ」



梟銀夜に隠れながらの挨拶となった



「ごめんなさいね。人見知りなの」


『いえ、大丈夫です』


「早く暖まらいと風邪引くわね。用意するから、銀夜。案内よろしくね」



梟銀夜の母親は先に廊下を歩いて行き、消えた


「行くぞ」


あたしは、梟銀夜についていく



妹の手を引き歩く後ろ姿は周りから見ると、微笑ましい光景そのもの

< 172 / 332 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop