零度の華 Ⅰ
下手に嘘は重ねられない
『不本意ではあるが、ウィッグをつけて入るか』
それなら見られる心配もなければ怪しまれる心配もない
人間が風呂に入ったかを確認するのに、視覚、聴覚と嗅覚が働く
そして、それが一番わかる部分は髪
特に長い髪だから良く分かる
ウィッグも洗うか
手間が掛かることとなるが見つかるよりマシか
裸になるとあたしは頭からお湯をかぶる
『それにしても大きすぎるだろ。温泉となんらかわりないじゃないか』
金持ちの組は違うなと一人関心していた
チャプンという音が反響し小さな音は大きな音となる
あたしはウィッグを外したまま湯につかる
あまり、ゆっくりできない
髪を乾かす時間もあるし、せっかく中に入ることができたんだ
興味が湧いてきた
ここを色々と見てみたい
「ハクちゃん、着替え持ってきたから置いておくね。服は洗濯するけどいいかしら?」
『ありがとうございます。すいません、お願いします』
「分かったわ」