零度の華 Ⅰ



十分に髪を乾かした後はウィッグを乾かす


それをまたつけて終わりだ

廊下へと出てくると既に梟銀夜がいた



『わざわざ、待っていたのか?』


「勝手に動かれると厄介だからな」



あっそ、と冷たく返す

そんなことだろうと思っていた



梟銀夜が歩きだしため、あたしも足並みをそろえてついていく



足が止まり、目の前の引き戸をスライドさせた




中にいた組員は盛り上がっていた話をピタリと止めて、あたし達二人に注目する

視線が痛い



梟銀夜は気にせず座る

後に続いて隣に座ると同時に質問攻めをくらう



どういう関係なのか、あたしは誰か、何故ここにいるかという内容


興味津々な顔であたしに食いついてくる


厳つい顔ぶれの中には組とは無縁そうな奴も混ざっている



人は顔で判断できないのは自分が良く分かっている


それに案外、そういう奴ほど腕の立つ奴がいたりする




「雨月羽空。大した関係じゃねぇよ。ここには俺が連れてきた」



あたしの代わりに聞かれたことに答える

コイツ、家ではこんなに喋るんだな


< 176 / 332 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop