零度の華 Ⅰ
梟隆弘‐タカヒロ‐は皆が見渡せる席へと座る
『はじめまして、雨月羽空と申します。お邪魔しています』
「君が......。そんなに改まらなくていいよ」
『あたしのことをご存じで?』
「銀夜から君のことは聞いているよ」
もう、話していたのか
そうでなければ、家には上がれなかっただろうな
『そうでしたか』
「集まったし、食べましょう」
ローズの言葉で一斉にいただきますと声をそろえる
大皿に盛りつけられてある煮物から揚げ物、サラダなどが勢いでなくなっていく
「はい、お姉ちゃん」
声がしたほうへ顔を向けると楓がお皿を渡してきた
そこには煮物が入っていた
『ありがとう』
楓は笑顔でローズのもとへ行く
あたしとローズの目が合う
「遠慮なんてしないで食べてね」
『はい、ありがとうございます』