零度の華 Ⅰ
一口、口に運び食べ進める
普通の煮物より味が濃く作られているな
いかにも酒のすすむ味だ
「それにしても、兄貴が女の人連れてくるのは初めてだな」
雄也の一言に男達が反応を示す
「もしかして彼女ですか?」
彼女だとか、付き合っているだのと騒ぎたてる
組員に彼氏がいることを伝える
すると、すいませんでしたと謝りだした
『大丈夫ですよ』
あたしなのか、それとも梟銀夜に向けられた謝罪なのか分からないが、返事は返しておいた
人が多いのは慣れているが、一体化されるのは慣れない
だから、面倒だと思う
組員達は次はああたしの彼氏について知りたがる
質問に答えているが早く終わらないかと、内心ずっとイライラしていた
その後も話題がつきることがない
彼氏の話が終わると趣味はなんだとかプライベートまで聞く
適当にあしらう
男達の口は閉じらず、あの時俺はこうだった、あぁだったなど昔のことを話し始めた
はっきり言ってどうでもいい
興味なんて湧かない