零度の華 Ⅰ
そんなに褒めても何にもでないのにな
そんなことよりあたしが気になるのは.......
『あの、雄也さん。いつからそこに?』
「雄也でいいですよ。聞いたら同年代みたいですし。ついさっきですよ」
気配を感じなかった
それに足音すら聞こえなかった気がする
いつものあたしでは考えられない出来事が重なる
『そうなんだ。同年代なら普通に話してもいい?あたしのことは羽空でいいから』
「そうだね。じゃ、改めてよろしくね、羽空」
『うん』
あたしたちは同じ年ということで話し方を変える
雄也に合わせて笑顔を作るものの、内心では苛立ちで溢れていた
どうして、一瞬で気配に気づかなったのか
なんでこんなにも注意力が散漫しているのか
まるで、今まで正常だった全ての能力が低下してるような......
『!!』
「ん?どうした?」
『あ、いや、そういえば銀夜を待たせていることを思い出した』