零度の華 Ⅰ
『あの。話しというのは何ですか?」
「君、情報屋なんだってね。その年で情報屋を見たのは初めてだ。どうして情報屋になろうと思ったんだい?」
はぁ、とついついため息をついてしまった
見え見えな演技に呆れたから
『回りくどい言い回しにベタな探り方。話せる程度なら話してあげるから、率直に聞いてもらって構わない』
小さな欠伸をこぼす
どちらが上の立場か、そんなものは見れば分かる
でも、情報という弱みを握っているあたしに何も言ってこないのは事の重大さを分かっているからだろう
それにどうやら向こうは、あたしが見破るということは想定内だったらしい
驚く表情がなければ動揺する素振りも見せない
あたしは隆弘の言葉を待つ
「やっぱり、小細工は君には通用しないか。では、聞こう。組(うち)のことをどれだけ知っている?」
『5人家族に319人の組員で構成。梟組は五月雨‐サミダレ‐同盟の一角を担っている。そして、警察と繋がっていて警察の犬と言われる面白くない組』
最後の一言にピクッと反応をみせた梟銀夜
気に入らなかったようだ