零度の華 Ⅰ
「チッ」
「次は俺が聞くね~。羽空ちゃんさ、辛かった思い出とかないの~?」
過去がないからと言って、直接聞くのかよ
コイツ直球だな
『そういうのはプライバシーの侵害だ。それに、それを調べるのがお前の仕事だろ?』
鷹見に含み笑いを見せると、驚いている
その時、携帯電話のバイブ音が響く
「誰のケータイ?私じゃないよ」
「俺じゃない」
「俺でもないよ〜」
「俺も違うよ」
「俺も」
愛川の質問に鮫島、鷹見、虎山、梟の順で答える
自分達じゃないことを確認した後、あたしの方を向く
光華の奴等がこちらを見るより前に、あたしは携帯電話を取り出していた
電話?
ディスプレイには"あの人"の名前が表示されている
あたしは応答というボタンを押し、携帯電話を耳にあてた