零度の華 Ⅰ
「ゲス野郎」
それだけ言うと燕(スワロー)はそいつに背を向けた
『お疲れ様』
「あぁ」
簡単な会話を交わした後、ここを去ろうとしたが......
『待て』
あたしは2人を止める
「あ"ぁ"?なんだよ」
早く帰りたいと言わんばかりに不機嫌な燕(スワロー)
自分の着ていたパーカーを脱ぎ、乱暴に燕(スワロー)へと投げる
「おい!!なんだって言ってるだろ!」
『黙って顔が見えねぇように羽織ってろ。雲雀(ラーク)もな』
低く言い放つと黙った
外では雲雀のことをボスとは呼ばない
決まりでもあるが、ボスが外に出てきているということがバレるのを避けたい
顔を見られると容赦なく狙ってくるからな
耳を澄ましてこちらにだんだん近づく音を聴く
これは車か
しかも1台じゃなく複数
今ここを離れようとしても、どちらにせよ鉢合わせしてしまう