零度の華 Ⅰ
目的地に少し離れた、目もつかない所にバイクを隠し、歩いて目的地へ行く
人通りのない場所にひっそりと佇むアパートのような建物
不気味で誰も住まなさそうな雰囲気を醸し出すそれは、MIUNIT(ミニュイ)の診療所として使っている
携帯電話を取りだし、雲雀に電話をかける
「もしもし」
『俺だ。任務完了した』
「そうか。分かった」
『少しケガをしてしまった。沙也加‐サヤカ‐のもとへ行って、家に戻る』
耳元で雲雀が焦っているのが分かる
笑いが出そうになるが耐える
「お前がケガするなんて珍しいな」
『しくじってな。一旦切る』
あたしは一方的に電話を切った
今頃、頭を働かせているんだろう
そんな暇をあたしが与えるわけねぇだろ
中に入ろうとドアに手をかける
ここはMIUNIT(ミニュイ)のメンバーしか入れぬよう、ロックを何重にもしてある