零度の華 Ⅰ
あたしと出会い、ボスの座へとついて人を物のように扱うようにはなったが、優しさが残っている
雲雀は殺し屋の割に優しさがあった
人を殺すのに優しさなんていらない
「ね、ねぇ」
沙也加は怯えた声であたしに話しかける
『何だ?』
「ど、どうして、私とヒロさんが付き合っているって分かったの?」
『調べたから。少しは賢いと思っていたが、雲雀はバカだったな。俺が事前に調べることがないと思って、考え抜いた答えが当日、ここに匿うことだった。隠す場所もあれば、滅多にケガしない俺がここに来ることはないから』
あたしはイスから離れ、医療器具であるメスを触る
『俺だったらMIUNIT(ミニュイ)に入れるな。ルールで縛れば誰かに殺されることがない。ボスの命令で海外へ飛ばすと同時に、沙也加も連れて行けば、望み通り殺しのない表の世界で幸せに暮らせるだろう』
「どうして、そこまで…」
『分かっているのが不思議ってか?お前達2人は望んでこの世界に入っていない。表の世界へ憧れるのは珍しくない』
銀色に輝き、自分の顔が映るメスを見つめる