零度の華 Ⅰ
数秒後、メスから3人の方に視線を移す
『裏の世界の人間が表の世界に混じって、幸せに暮らせるなんて夢物語を描いてもすぐ消える。その前に俺がお前達2人を一緒に逝かせてやる』
ゆっくりと2人のもとに近づく
橘ヒロは沙也加を守るように前に立ち、待ち構える
5歩ほど歩いて沙也加が爆弾を落とした
「やめて!!殺しなんてやめよう?これ以上、手を汚すのはやめて、ね?羽空ちゃん」
あたしを必死に宥めようとして、思わず口にしたのだろう
女ということを隠しているあたしにとって、ちゃん付けで呼ばれて殺意が芽生えないわけない
名前は偽名であるため気にしてないが、女とバレたことに怒りを隠せない
もう、誤魔化しが利かないんだ
沙也加はMIUNIT(ミニュイ)のメンバーであるため、橘ヒロはその言葉を信じる
それに医者だ
いつかケガを治してもらう際、ケガした場所が悪く、体を見られてしまったことを後悔する