零度の華 Ⅰ



何かを言いたそうだが、なかなか口を開きそうにない



『はぁ、用がないなら帰ってくれ。これから出かけるんだ』


「どこへ行くんだ?」



口を開いた思ったら行き先を聞くのかよ



『関係ない。それより、早く言いたいことを言え。あたしが気が長くないのは知っているだろ』




5秒程経ってやっと重い口を開けた



「姉貴達を殺すつもりか?」


やはり、沙也加の事だったか




『だったら?』



雲雀は下唇を噛んだ後、あたしに頭を下げた

あたしはただその様子を見る



「頼む。見逃してくれ」



ボスが部下に頭を下げるのか

コイツも落ちぶれ、情けない姿となったな




『分かった』



そういうと、ガバッと頭を上げあたしを見ている

内心、安心しているのだろう



それで終わらせないのがあたしだ



『なんて言うかよ。それに狙っているのはあたしだけじゃねぇ』



立ち上がり、ペットボトルをゴミ箱へと捨てる



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