零度の華 Ⅰ
『殺し屋が狙われるのは必然だ。殺されたっても文句言うなよ。それがソイツ等の運命だったってことだ』
あたしは大きな欠伸をこぼす
チラッと雲雀を見ると下を向いている
『裏に関わった以上、死んでも天国や地獄に逝けやしない。底なし沼だ。生きるも死ぬも待っているのは闇だ』
未だに下を向いて言葉を発さない雲雀
そろそろあたしも付き合ってられない
『もう、いいだろ。帰れ』
雲雀は重い足取りで玄関まで歩いて行く
それをあたしが止めた
『1つ、聞きたいことがある』
雲雀は振り向き、あたしと目を合わす
『何故、そこまで必死になる。いや、何故なれる』
「家族だからだ。血の繋がったたった1人の家族だから」
それだけ言うと、雲雀はあたしに背を向けこの家から出て行った
"家族"……か
あたしには分かりもしない、無縁の言葉だ
否、分からなくていい
あたしは1人だ
今もこれからも……