零度の華 Ⅰ




女ということが分かったとしてもほんの一部だ


衝撃的な事実であるが、女だと分かったところで何かが大きく変わるわけではない


それに、影武者となるわけだから、あたしのことについて知っておく必要がある




「名前と歳を教えていただきたいです」


『聞いてどうする?必要か?』


「必要です。貴女になりきる為にね」


『お互い詮索しない方がいいじゃないか?』


「私のことは全て知っているんでしょ?」




確かに知っているが、それはSQUELETTE(スクレット)を殺るために、事前に調べたから知ることになったんだ

詮索とは意味が違う




『知っているのは名前と歳ぐらいだ。お前昨日、あたしの名前聞いたはずだよな』



沙也加があたしの名前を呼んだ

それを聞き逃すわけない、嫌でも覚えることだと思うがな





「アレは、偽名ですよね。女と言うこともケガした場所が悪くて、バレてしまったというところですかね。でなければ、人を信用しない貴女が自ら自分の事を話すわけないと思いますからね」



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