零度の華 Ⅰ



「日本、だけじゃないって......まさか、世界にも同じようにしたのですか?」



あたしは呑気に携帯を弄りながら烏(クロウ)に教える



『そうだ。といっても、殺し屋のいる国の一部にしか送ってないけどな』


「そこまでして何が目的なんですか?今回、特に面白いことというのはありませんでしたよね」


『お前はまだ、あたしのこと理解していないようだな。これ以上答えを言うつもりはない。後は自分で考えな』



そう言って、あたしは背もたれに身を預け目を瞑った


烏(クロウ)はあたしが眠りについたと思い、それ以上何かを聞いてくることはなかった





目的なんて大したものはない



警視庁にわざわざ行ったのは間近で鷹見の表情(かお)を見るためと、零(ゼロ)の侵入を防ぐためにどんな工夫がなされているか知りたかったため



そして、DVDを放送するようテレビ局を脅したのも、DVDを見た後の人間の行動などを見たかったから


あたしがやることなすこと意味はあるものの大したものは持たないことばかり




深く考えるだけ無駄なこと



今回のこと、雲雀に怒られるな


でも、怒られるのもこれで最後となるからいいか





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