零度の華 Ⅰ
『調べては見るが、その分の報酬はあるのか?』
「金を取る気か」
『当たり前だ。こちらも商売なんでな。別に金でなくてもいい。その代り、その零(ゼロ)を追う警察の動きを知りたい』
翼は眉間に皺を寄せた
「俺に警察の内部に侵入させるつもりか?」
『そこまで言ってないだろ』
「………。金ならいくらだ」
少し考えた翼にあたしは即答で答えた
『1億』
「ぼったくりだな。お前には頼まねーよ」
『賢明な判断だ。殺し屋になんて関わらない方がいいぞ。お前もすぐにあの世逝きだからな』
「___本当は何か知ってのじゃねーのか?」
『さぁ?』
翼は疑心を抱きながらあたしを見る
それに意味深な笑顔を向けると翼の表情は強張った
この心理の探り合いという状況に少し名残惜しい気持ちがあるが、このままだったら1日が終わりそうだったので腰を上げ、ソファーから立ち上がる
「どこに行くんだ?」
『いつもの場所』
「そうか」
それを最後に、あたしは理事長室から出た
あたしが向かった場所、それは........"応接室"
ここは、あたしだけが使っていい場所
翼に鍵をもらい、あたしだけしか入れないようにしている
ガチャリと鍵を開け、中に入る
そこには高級そうな黒の大きなソファーが2つ、向かい合うように置いてあり、その間にガラステーブル、そして冷暖房がついてある
置いてある物はそのくらいだ
応接室に人が来ることはない
来客が来ようともこの部屋には入らず、案内されるのは理事長室だ
あたしはソファーに寝転ぶ
そのまま、眠りについた