零度の華 Ⅰ



あたしは鮫島の前まで歩み寄る



「来ないかと思ったぜ」


『あたしから誘ったんだ。来ないわけないだろ。楽しもうじゃないか』



眉を歪めて、嫌なものを見るような目を向けてくる

あたしは1人1人の顔の表情を頭に入れておく


表情の変化はすごく面白いから



『始めようか』


「先攻は譲る」



女だからといって情けをかけるつもり?

いらないことをしてくれるな

その余裕はすぐ消えて無くなるというのに



『じゃあ、言葉に甘えて先攻はもらうが、本気でやれよ。手を抜くと痛い目に合うぞ』


「痛い目を見るのはお前だ」



よっぽどの自信があるのだろう

負ける気はしないと



あたしも舐められたもんだな

すごくイラつく

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