零度の華 Ⅰ
そろそろ、昼食の時間になろうとしていたのであたしは食堂へと向かった
『メロンパンとクリームパンとコーヒー』
「はいよ‼︎貴女、美人さんねぇ~モデルさんでもしているの?それに見ない顔ね、転校生?」
『ただの高校生ですよ。ずっとここにいます』
「あら、そうなの?こんな美人さんなら覚えている筈なのにね。ごめんさいね。お詫びと言ったら少ないけど、これあげるわ。また食堂にいらっしゃい」
そう言って笑顔であたしに渡してきたのは包まれたチョコレート
それも3つ
食堂を去るあたしに対して笑顔で手を振るおばさんに、あたしも作った笑顔で会釈程度のお辞儀をして出る
あたしはすぐに笑顔を崩し、真顔で応接室に向かうための廊下を歩く
今度頼むときはあの人ではない人に頼もうと思った
質問も多いしあういう人間は対応に疲れる
無駄に気力を使うことはしたくない
あたしはそう思いながら、もらったチョコレートを包み紙から開けて口の中に入れると、口いっぱいに甘さが広がる
そのおかげで少しは疲れが取れた
ただの思い込みでしかないがな