俺を好きになってよ。

「ゆうちゃん、何聴いてるの?」

「え?ああ…聴く?」

「うん!」

私は片方のイヤホンを受け取り、耳にいれる。
音楽は今話題のバンドで、私もよく聴いているやつだった。

「これ、私が好きな曲!ゆうちゃんも好きなの?」

「うん、最近ハマっちゃって。この間CD買っちゃった!」

「そうなの!?私、この間でたCD買い逃しちゃってたの!」

「よかったら、貸そうか?今日、凛月の家行くよ」

「いいの!?ありがとう、ゆうちゃん!!」

バンドの話をしながらバスに乗った時、ゆうちゃんが何かに気がついて私の顔をじーっと見る。

「どうしたの?何か顔についてる?」

「いや……凛月、今日メイクしたの?」

「うん!天使なゆうちゃんの隣を歩くのにスッピンは嫌だから!!」


天使……?何の事か分からないゆうちゃんは首を傾げる。

そう!それ!!その目!!!

キラキラな目!!!それに、金色に近い色の髪の毛!!!

まさに天使みたい!!!

「そうなんだ…」

「…メイク、変?」

「いや、可愛いよ。メイクしなくても十分可愛いのになーって!」

「もーお世辞はよして!」

「お世辞じゃないよ」

ゆうちゃんが急に真剣な目でこちらを見るから、言葉につまった。

「凛月は自覚ないかもしれないけれど、昔から襲いたいくらい可愛いから」

「え…」

「ほら、それ。…顔赤くするのも誰にも見せたくない」

「…ゆうちゃん…っ」


ゆうちゃんってこんなに大胆だったっけ?
そんな事言われたら誰だって顔赤くなるよ〜!!

ていうか、今私達がいる場所を思い出す。

「ゆうちゃん、ここ、バス…っ!!」

「…あ、そうだった」

いや、そうだったじゃないから!!!



< 164 / 274 >

この作品をシェア

pagetop