俺を好きになってよ。
「由貴、奈那からの連絡は…」
「……全く」
奈那が学校に来なくなって1週間が経っていた。
その間、連絡しても繋がらず、LINEの既読もつかない。
今日家に行ってみるか…。
そして、放課後。俺は奈那の家に向かった。
今、家の前にいる。
そうLINEをし、インターホンを押すと、直ぐに扉は開き、奈那が出てきた。
「なんだ、元気そうじゃーん!」
「…体調が悪いわけじゃないわ…」
その言葉からすると、やはり俺のせいだと分かった。
奈那の後ろをついていき、奈那の部屋に入る。
「おー懐かしいな、奈那の部屋」
なんて、明るく話してみるけど奈那はベッドに座り俯いていた。
「……奈那。急に別れを告げてごめんな。…でも、俺もう…」
「別れたくない…」
そう言われ向けられた目は濁っていた。
まるで俺を見てないかのように。
「嫌よ…私、何かした?…したならなおすから!だから別れたくないっ…」
「…奈那が悪い所をなおしても前みたいに笑い合うのは難しいんだ。…だから、ごめん…」
「嫌よ!」
「奈那…っ!」
「別れない。…私が死んでもいいの?」
「え…?」
奈那はベッドから立ち上がり、バルコニーに向かう。
そしてバルコニーの手すりに足をかける。
「奈那っ!何してるの!?」
「南が別れないって言わないなら私は死ぬわっ!」
奈那の部屋から地面は結構距離があった。
奈那は手すりの向こうに行こうとしている。
どうすればいいんだ!?
別れないって言ったらまた前と同じ事…。
「こっちに近づいても死ぬから」
「奈那…」
「私には…南しかいないの…っ」
「分かったから…。……俺が悪かった。別れるなんて言ってごめん…」
それから俺と奈那はまた付き合うことになった。