俺を好きになってよ。
今、隣には卵焼きを食べている美人な彼女。
前の俺だったら惚れていたんだろうな…。
でも今は……。
奈那と別れ、教室に戻ると佐伯とりっちゃんがいなかった。
何となく。ホントに何となく探しに行こうかなと思って思い当たるところを探していた。
「あ…中庭…」
中庭はりっちゃんと初めて出会った場所。
俺がりっちゃんに興味を持つようになった場所。
そこに行ってみることにした。
渡り廊下を歩いていたけど足を止める。
あと数歩で中庭に行けるのに。
進まない。
足の裏が地面にくっついて離れない。
見なければよかったと思った。
りっちゃんと佐伯がキスをしていたから。