俺を好きになってよ。
教室に戻り、席に座ると南が珍しく席に座っていた。
いつもだったらチャイム鳴ってから戻ってくるのに。
次の授業なんだっけ……あ、数学…!!
教科書忘れちゃったし!!最悪だ〜!!
ゆうちゃんに見してもらおうとしたけど、さっきの事があってさすがに気まずくて頼めなかった。
「南、数学の教科書忘れちゃって…。見してくれない?」
「…ん」
「えっ、南見なくていいの?」
「寝るからいい」
そう言って数学の教科書を私の机に置いて机に伏せた南。
なんか朝と態度が…。
「ねぇ…南、怒ってる?…あ、やっぱり私ゆうちゃんに見してもらうか……」
「いいって!」
「え…」
伏せていた顔をあげる。
南が大声を出したから、皆がこちらを向いたけどそれはすぐにおさまった。
こんな南、私を助けてくれた時以来…。
鋭く、光を通さない目だった。
「あ…だから、貸すから。見ていいよ」
「ごめん…ありがとう…」
何かあったのかな?なんて思ったけどそっとしたといた方がいいよね?
変な雰囲気のまま授業が始まった。
「凛月、南っちどうしたの?」
「ちょ、近い…っ」
右からいきなり顔を近づけてくるからビックリするじゃん!しかもさっきの事もあるし!!
「凛月…顔赤いよ?」
「だ…大丈夫だから!」
「でも…熱あるかもしれないし!」
「ちょっ、だから近いって…」
小声で会話してるけど先生に怒られたらどーすんの!!
ゆうちゃんはそんな事気にせず私のおでこに自分のおでこをくっつけてきた。
「……っ、」
「ん〜、熱はないみたいだね」
「だから言ったじゃん!!」
ゆうちゃんってこんな積極的だったっけ!?
って思った時、隣で椅子を引く音がした。
ゆうちゃんじゃないから…南?
「どしたー、佐野」
「体調がすぐれないんで帰っていいすかー」
「おーいいけど…。仮病だったら許さねーぞ」
「ゲホッゲホッ…っ!帰りまーす」
「佐野ー、バレバレだぞー」
なんて言う会話をクラスの子が笑っていた。
南はそんな中カバンを持ち教室を出ていった。
「……」
なんか出ていく時…こっち見られた?
しかも冷たい目で…。
「気のせい…だよね…」
「ん?どうしたの?」
「何でもないっ!」
そうだ気のせいだ!!
さっき冷たい態度だったのは体調が悪かったからなんだ!
だとしたら悪いことしたな…。