俺を好きになってよ。

放課後。

一応LINEで

"体調大丈夫?教科書ありがとう"

と送ったけど既読はつかず。
やっぱり体調悪いんだ…。

ゆうちゃんは先生に呼ばれたから帰れないし、久しぶりに麻衣子と帰るか!

帰りの支度をしていると、麻衣子が後ろを向いてきた。

「ねぇ…さっき聞こうと思ってたんだけど…優くんと何かあったの?」

うっ…!麻衣子さんにはお見通しなのか!

私は周りに人がいないことを確認すると、昼休みに南がキスをしてるとこを見てしまって、泣いた時に抱きしめられたこと。告白されたこと。そしてキスされたことを話した。


「えっ!!キス!?」

「ちょ…しずかに!!」

「あ…ごめんね!…でもキスされるなんて、優くんって積極的なんだね…」

ホントそれなんだよね…。顔はどちらかと言うと可愛いよりだし、昔は私の後ろに隠れてばかりで自分のことをあまり話そうとしなかったのに…。


「これは、りっちゃんのために変わったんだろうね〜…」

「でも、私の気持ち知っててだよ!?酷くない!?」

「まぁ…それもあるけど…でも、男なんて皆そうなんじゃない?知らないけど」

なんて投げやりなんだ…と思ったけど言わなかった。
すると麻衣子が何かを思い出しかのか口を開く。

「そういえば佐野くん、体調悪いんだってね。朝元気だったのに」

「だよね…私、体調悪いの知らなくて無理やり教科書借りちゃったから申し訳ない…」

「…どういうこと?」

「いや、だからね…」

さっきのやりとりの事を話した時、麻衣子は何かを察した。

「はは〜ん、そういう事か…」

「えっ、何がそういう事なの…?」

ビシッ!

「あいだっ…!」

麻衣子が人差し指をおでこに突きさしてきた。
地味に痛いんだけど…。

「自分で考えるべしっ!」

「そんな〜…」

「りっちゃんはさ…佐野くんに告白しなくていいの?」

「だって…」

どうせ振られるに決まってるし…。振られて気まずくなるくらいなら今の関係のままでいいし…。


「……それってさ、逃げてるよ」

「え…」

「自分が傷つきたくないから逃げてるんだよ。全部上手くいくことなんてないんだからさ、当たって砕けろじゃん!!」

「……じゃん」

「よしっ!!今日新しくオープンするカフェでも行こ!」

「…う、うん…」


そうかもしれない…。
自分が傷つくのが嫌だから。怖いから逃げていた。

告白はすごく勇気がいる。
でも、しないままだと何も前には進めない。

今もこうやって引きずってばかり。


後悔しないうちに……




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