俺を好きになってよ。


大きな木に手をそえ、さらに大きなため息をする。



「はぁ…最低だ、私…」

「本当だよー!」

「えっ!み、南!?」

振り向くとそこには汗だくの南がいた。


「あの後の俺の対応考えてよ…」

「ご、ごめん!…だって!」

「だって?」

恥ずかしかったし…。


そして何より、


「南が私を好きだなんて、有り得ないよ…」

「嘘じゃないよ。好きじゃなかったら付き合うフリするわけないじゃん!」

「あ、あれはただのお遊びかと…!!」

「ねぇ、まって。俺の事なんだと思ってる?」



え?ただの女タラシのチャラ男じゃん!!

そう言うと南が頭を抱えてしゃがみこむ。


「ごめん…こんな俺じゃ信じれるわけないよな」

「え…?」

「…俺、分からないんだ。女の子の扱い方」

「…タラシなのに…」

タラシのくせに扱い方分からないって…。あれだけ上手ければ分かるでしょ!


「違う。……好きな子の扱い方が分からない。……また傷つけてしまいそうで」


南の言葉にひっかかった。

"また"って何…?



不思議に思っていると南が私をベンチに誘う。



「…俺の話、聞いてくれる…?」






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