俺を好きになってよ。
過去
(南side)
俺は母親に愛されたことがなかった。
いや、正確には愛されなくなった。
幼稚園の頃、父さんと3人で出かけたり遊んだり、とても楽しかった。
2人とも優しくて、仲が良くて大好きな、理想の親だった。
でも、それはある日を境に崩れていった。
「ただいま〜!」
小学3年生の頃、僕はいつもの様に家に帰宅した。
あれ…いつもならここで出迎えてくれるのに。
何処か出かけてるのかな?
って思ったけど靴はあった。
それと、明らかにお父さんが履かないような靴が。
お父さんは仕事でいない。
「お母さーん?」
お客さん来てるのかな…?
リビングに繋がる廊下を歩こうとして足を止めた。
お母さん達の寝室が少し開いていた。
何となく、何となくそこを覗いてしまったのだ。
そこにはお母さんがお父さんじゃない人と身体を重ねていたのだ。
僕は最初、何をしているのか分からなかった。
……あれは人なのか?
お母さんなの…?