俺を好きになってよ。

結局、その日はどちらが連れていくか決まらなかった。


朝になるとお母さんは朝食を作っていて、お父さんはソファで新聞を見ていた。


「お母さん、お父さん…おはよ」

「南、おはよう」

お父さんはいつものように優しく返事をしてくれた。

でもお母さんは何も言ってくれない。


「お母さん、今日の朝ごはん何ー?」

「……あら、いたの。ごめんなさい、あなたの分作るの忘れちゃって…」

僕はその場で崩れそうだった。

ご飯が用意されてないからじゃない。



僕の存在を消そうとしていることに悲しかった。

僕がいない。


僕を産んでないことに。



何で?






ボクハイラナイソンザイナノ…?



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