俺を好きになってよ。

お母さんは僕に気づいたのか、横断歩道を渡らずに走っていく。

僕は慌てて横断歩道を渡り、お母さんが走っていく道を走る。


「お母さん!!待ってよ!!」


その声は届いたはずなのに。

それでもお母さんは走る。


「待ってってば!!」


僕はなんとかお母さんにたどり着いて、腕を掴んだ。

お母さんは振りほどこうとする。


「離してっ!アンタなんか嫌いよ…っ!」

「なんでそんな言い方するの?僕、何かしたの!」

「アンタが嫌いなのよ!私の前から消えてよ!!」



そう言い放ち、僕が固まっているとお母さんが走り出した。




















そして僕の前から消えた。




お母さんは僕の前で死んでしまった。




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