俺を好きになってよ。
「…りっちゃん、ごめんってー」
「無理…明日から学校来れない…」
あの後、私は南にお姫様抱っこをされたまま、中庭に来た。
私はベンチに座り手で顔を隠す。
「大勢いたしね…」
「そうだよ!だから行きたくないの!」
大勢の前でキスなんて死んでもいいくらいなんだから!!
あぁ…教室に入るのも億劫…。
「…りっちゃん、ごめんね…。そんなにキス、嫌がるとは思わなくて…」
チラリと、隣に座る南を見た。
あ、耳が垂れ下がっている。
ああ、もう。
「…嫌じゃない…。幸せだなって思ったのっ……大勢の前でされるのは恥ずかしかったの!」
こんなしょんぼりしている犬を前に嘘はつけない。
「りっちゃん……」
「何?」
「キス…していい?」
「……うん……」
本日2回目のキスも甘かった。
本当に南には敵わない…。
こんなにもドキドキさせるのも、好きにさせるのも南しかいない。
今日も明日もこれから先も私は。
南の隣で笑っていたい。