俺を好きになってよ。

「…りっちゃん、ごめんってー」

「無理…明日から学校来れない…」



あの後、私は南にお姫様抱っこをされたまま、中庭に来た。

私はベンチに座り手で顔を隠す。


「大勢いたしね…」

「そうだよ!だから行きたくないの!」


大勢の前でキスなんて死んでもいいくらいなんだから!!

あぁ…教室に入るのも億劫…。


「…りっちゃん、ごめんね…。そんなにキス、嫌がるとは思わなくて…」

チラリと、隣に座る南を見た。





あ、耳が垂れ下がっている。






ああ、もう。







「…嫌じゃない…。幸せだなって思ったのっ……大勢の前でされるのは恥ずかしかったの!」


こんなしょんぼりしている犬を前に嘘はつけない。


「りっちゃん……」

「何?」

「キス…していい?」

「……うん……」


本日2回目のキスも甘かった。



本当に南には敵わない…。



こんなにもドキドキさせるのも、好きにさせるのも南しかいない。



今日も明日もこれから先も私は。




南の隣で笑っていたい。





< 271 / 274 >

この作品をシェア

pagetop