俺を好きになってよ。
怒ってる。
そう思った。
でも…何で…?
「……した」
「え…?」
「心配したっての!」
さっきからずっと俯いていた南が顔を上げた。
その顔は冷たい表情じゃなくて、見ている私も苦しくなった。
私…皆に心配かけてる…。
申し訳ない…。
「ご、ごめんね、南…。ごめん…」
「今回は俺が一番関係してるから。俺が悪い…」
やめてよ。
いつもみたいに笑ってよ…。
調子狂うじゃん…。
その時、私の中で我慢していた何かが溢れ出した。
「…もー、りっちゃん泣き虫だなー!…ほら、泣きやみー?」
「……っだって…!み…なみがっ…!」
「うん…ごめんね、凛月」
凛月。
そう呼ばれたのは初めてだった。
だから、少しだけ戸惑ってしまった。
「あれ?なになにー、もしかして凛月って呼んでほしいのー?」
「何で、そうなるのっ…!バカ!」
アハハーと笑いながら私を抱きしめてくれる。
何なのコイツ…本当。
本当女の子の扱い上手すぎなんだから。
「りっちゃん…俺が…」
「…?何…?」
南はきつく抱きしめて、背中をポンポンしてきた。
あ…なんか落ち着く…。
「俺が守るから。どんな時も駆けつけるから」
何それ…。
「やっぱり、あんた馬鹿だね…」
「えっ!?何で!」
本当バカでいい男だよ。
ちょっとだけ。ちょっとだけ、南にドキッとしたよ。
あの時…もうダメだって思った時、頭に浮かんだのは南だった。
それから、私が落ち着くまで背中をポンポンしてくれ南。
ありがとう…南。